俺と新垣結衣 3日目

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朝4時、結衣の泣き声で起きる。


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台風だ。

 

結衣は小さいころから台風がゴオゴオと壁や屋根を叩く音が嫌いで、想像力豊かな結衣らしいが、今も大きな1つ目のおばけが屋根や壁を叩いてると思っているらしい。

雷が鳴った日には目も当てられない。

結衣は一日中布団の中から出てこないだろう。


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確かに、風も強く雨も降り出してきた。

けれど行ってみないことにはわからない。

涙目の結衣を引きずってお寺へ向かう、

今日は6時間かけて急な斜面の山を登り山頂のお寺を目指す日なのだが、、

 

数十分ほど登って引き返した。

細い道で突風に荷物ごと煽られて滑落しそうになったからだ。

これからさらに風も強くなり雨も増してくるとなると、俺はともかく、結衣の身に何かがあったら、、

 

麓から街まで8kmほど歩く。

「戦略的撤退。戦略的撤退。戦略的撤退。」結衣はブツブツ呟きながら歩いていた。

 


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ホテルの部屋のドア。


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台風とは思えない天気。嵐の前の静けさ。


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東京ガール。


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カマタレコード。


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正しい営業時間のコンビニ。

 


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地元の神さまにご挨拶。

 

久しぶりに結衣と2人でゆっくりとした時間を過ごしている気がする。お互い仕事で忙しく会えるのは24時を回ってからということが多かった。ここには夜景もシャンパンもないが、ゆったりと流れる"今"がある。こんな時間に人目を気にせず出歩ける気楽さ、自由がある。結衣も幼い頃に戻ったような、あどけない顔で街を歩いている。なんにも予定がないってことは案外幸せなのかもしれない。隣を歩いている結衣を見ているとそんなことを思う。

開いているお店もなかったのでコンビニでお弁当を2つ買ってホテルに戻る。

 

ホテルの女将さんと結衣と3人でテレビを観ながらご飯を食べる。お接待でお茶をいただく。南原清隆が刑事役のドラマだった。結衣は、ナンチャンさんは楽屋でも紳士的でとても優しいんだということを女将さんに話していた。

 

部屋に戻ってから

「明日は晴れるといいね。」って結衣にいう。

「そうだね。」って結衣が言う。

 

俵万智の短歌を思い出す。

『「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ』

 

そんなことを考えてたら気象予報を見ていた結衣が

「けど、良いお天気も悪いお天気もないよ!、、2人でいれば!」

「!!そ、そうだな!!」

 

いきなりでドキッとしたけど、たしかにそうかもしれない。いい天気もわるい天気も一緒にいる人次第というか、気の持ちようというか、とにかく、そういう気持ちにさせてくれる人と一緒にいるのは心地いいし、なにより気が楽だ。

 

夜中に何度か避難警報が街に鳴り響いていたが、よそ者の僕ら2人は手を繋いで眠った。